【流量ハンチングの対策】背圧弁の構造とメリット【仕込み圧力の安定化】

物性を安定させるためには、仕込み量を一定にする必要がある。しかし、仕込み先の圧力や粘度によって思ったように仕込めないことがある。この際は仕込み圧力を上げる事で解決することが出来る。仕込み圧力をあげる方法として、ポンプを能力の高いものに据え替えたり、配管径を変更する等があるが、どれもコストが嵩み改善に二の足を踏んでしまう。そこで今回は仕込み圧力を上げる方法として、背圧弁の設置を紹介する。

背圧弁の構造

 

ポンプの基礎 ポンプなるほど第2回 用語編【背圧弁】 iwaki(ポンプメーカー)

背圧弁はダイアフラム(金属板)とスプリングによって流路が封止されている。このダイアフラムを流体が圧力で押し上げる事で二次側に流れる仕組みになっている。

このスプリングでかける圧力は、圧力調整ボルトによって調整する。このボルトを調整する事で、仕込み圧力を決定する事ができる。

構造は非常にシンプルでメンテンナンスも不要であることは、ポンプの据替等と比較するとメリットが大きい。

背圧弁の効果

背圧弁の役割は流す圧力を一定にすることである。メインプロセス側の圧力変動によらず、定量定圧で液を仕込めることが出来る。その為高粘度のメインプロセスに添加剤を仕込む際に定量定圧で仕込む事ができ物性の安定につながる。

更にプランジャーポンプを使用し、背圧弁の圧力設定を高くする事で、本来のポンプのみの圧力より高い圧まで昇圧することができる。これによって、メインプロセス側の液体よりも圧力を上げることで、メインプロセスの圧力変動を受けにくくし仕込流量の変動を抑える事が出来る。

また、圧力を一定にする役割には仕込みすぎを抑制する側面もある。今度はメインプロセス側の液体粘度が低い場合を想定する。この場合には、メインプロセス側の圧力変動によって、吸い込み、サイフォン現象が生じ、添加剤が過剰に吸い込まれる、仕込まれる可能性がある。

サイフォン現象については、Uシール配管の記事で説明しているので参考にしてほしい。

【基礎知識】Uシールの構造原理 現場力向上委員会

しかし、背圧弁を設置する事でサイフォン現象によって過剰に吸い込まれた場合には圧力が低下するためダイアフラムが閉じ、仕込みが停止する。

どちらのケースにおいても、仕込み流量の安定化に大いに役立つ事から、定量ポンプと背圧弁をセットで使用することで流量のハンチングの抑制することできる。

背圧弁を使用するにあたっての注意点

背圧弁を使用するにあたっては、ダイアフラム面が押し広げられてできる流路は狭いため、粘度の高い、固着しやすい液体を流すことは向いていない。

またメインプロセスの圧力と背圧弁の設定が近い場合には逆流の可能性も考慮する必要がある。そのため、配管などの耐圧が許す限りは、背圧弁の設定は高めに余裕を持った圧力にするべきである。

異常時にはボルトを緩める事で圧力の制限なく流すことはできるが、固着、異物の混入による閉塞の可能性もある為、バイパスラインをも付設することを推奨する。

今回は流量のハンチングを抑制し、定量仕込みを可能にすることで物性の安定化に大きく貢献する背圧弁について紹介した。読んでいただいた人の中で、流量のハンチングに困っている場合は一度検討していみてはどうか。

以上、ご安全に

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA