【工程分析の基本】ガスクロマトグラフィーの基本【いまさら聞けない?】

今回はガスクロマトグラフィー(GC)の基本について紹介する。管理人は化学工学専攻のため、学生時代にGCを触ってこなかった。そのため、GCで何が分かるかしか知らなったが工程分析はオペレーターの方が行ってくれるため何とかなっていた。

しかしここ最近製品の物性が安定しない原因が仕込組成に問題があることが判明し、仕込組成がずれている原因はGCの誤指示であったことが判明した。

その為、GCについて今一度勉強し直したので、GCの原理とGCに起因するトラブルの気づき方について紹介する。

GCの原理について

ガスクロマトグラフィーは、名前の通り気体を分離し分析する装置の事である。しかし、測定できるのは気体だけではなく固体・液体も測定することが出来る。化学メーカーでは試料が液体のものが多いだろう。液体試料はGCの入り口で加熱され気化してから、カラムによってクロマト分離される。

気化された試料はキャリヤーガス(He)によってカラム中を移送される。カラムの中では、カラムの中に充填された固形物によって、成分の大きさなどによって検出器へ到着する時間がずれる事で、試料中の成分を分離・検出することが出来る。

GCは単純に注入されてから検出器に到着するまでの時間(保持時間)のみで成分を同定している。つまり保持時間が未知のものは同定できないのである。(管理人はこれを知らなかった。ライブラリ検索とかないんですか?)

その為、自分で同定したい成分を混合した濃度既知の試料をGCで検出させ、GCにこのピークがAという物質で濃度がこれぐらいというのを覚えさせる必要がある。この作業を検量線を引くと呼ぶ。(聞いたことある!!)

GCによる検出

GCを手順に従って操作すると、このようなピークが乗ったレポートが出力される。これは縦軸が保持時間で、横軸がピークの強さである。

 

このピークを検量線と照らし合わせる事で、含有成分と成分濃度を特定することが出来る。

ピークとベースラインの間の面積が試料の成分量を示しており、この面積を検量線の面積と比較する事で濃度を検出している。

GCのトラブル

GCのトラブルが発生していると、流量計では処方通り仕込めているのに、実際の成分的には過不足が生じている可能性がある。結果として製品物性まで影響を及ぼしてくる。

運転条件などに異常がないにも拘らず、物性に変化が生じた場合には分析機器を疑う事も重要である。その場合には、検量線を作成した標準試料で分析を行い、チャートを確認する。

GCの場合は、大半のトラブルがピークを確認する事で異常を検知することが出来る。ここでは、主要なピーク・ベースラインの異常を紹介する

ピークの異常

  • テーリング(ピークが後ろに伸びる)
  • リーディング(ピークが前に傾く)
  • ピーク割れ(ピークが二つに割れる)

ピークの異常が発生するとピークがブロードになりピーク面積が広くなる為、ほとんどの場合が成分の濃度を多めに指示してしまう。相対的に他の成分濃度が低くなることになる。

テーリング・リーディングはチャートをパッと見ただけでは気づきにくいことがある為、過去の分析結果と比較してピークを確認することが重要である。

テーリング、リーディングの主な原因はカラム・ライナーの汚染、試料中の不純物による影響のため、再サンプリングした試料での分析または検査機器担当者に相談する。

ベースラインの異常

  • ドリフト(ベースラインが上昇する)
  • スパイク(ベースラインから髭が生える)
  • ノイズ(ベースラインにノイズ、ギザギザが出来る)

ベースラインの異常が発生すると、分析値は予想とは大きく異なるデータとなることが多い。ベースラインの異常は、キャリアガスやカラム等が原因のため、ベースラインに異常が発生した場合には検査機器担当者に連絡する

今回はガスクロマトグラフィーの原理とトラブルについて紹介した。製品の物性を左右する重要な機器である為、異常に素早く気づくためにも日頃からピークを確認しておく事が重要である。

以上、ご安全に

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