【基礎知識】スチームトラップの構造原理

最近はめっきり寒くなり、皆さんの工場でも凍結対策として、蒸気通気等が行われているではないだろうか。今回は蒸気を通す上で重要なスチームトラップの構造について紹介する。

スチームトラップの構造

スチームトラップは、蒸気を通気することで発生するドレン(蒸気が水に戻ったもの)及び空気を排出し、蒸気を無駄に排出しない機能を持つ自動弁である。ドレン及び空気を蒸気通気ラインから排出することで、蒸気での加熱を妨げないための設備である。

スチームトラップには、フリーフロート式、バケット式、ディスク式など様々な型式があるが、今回は(管理人の工場では)よく使用されているフリーフロート式の構造について紹介する。

フリーフロート式の中には、図のようにフロート(鉄球)とバイメタル(温度で湾曲する金属板)が入っている。ドレン排出の機構は以下の繰り替えしになる。

 

  1. 蒸気通気開始時は、フロートはバイメタルに持ち上げられ排出口が開いている状態のため、蒸気に押し出されたドレンと冷えた空気はそのまま排出される。
  2. ライン中にたまっていたドレンが抜ければ、蒸気と新しく発生したドレンが流入するる。ライン中に溜まっていたドレンは冷たいため、バイメタルは湾曲しないが新しく発生したドレンは蒸気に温められ、100℃に近い温度まで上昇する。
  3. ドレン温度が90℃以上に上昇すると、バイメタルが湾曲しフロートを持ち上げなくなり、排出口が閉になる。
  4. これ以降はドレンが流入し、一定液面以上になると浮力によっていフロートが上昇し、排出弁が開になりドレンが排出される。
  5. ドレンの流入が減少し液面が低下すると、フロートが降下しドレンの排出が停止する。
  6. 以降、蒸気通気中は4と5の繰り返しになる。

スチームトラップの役割

スチームトラップの主目的は、蒸気を漏洩せずドレンを速やかに排出することである。ドレンが配管中に残存しているとウォーターハンマーが発生する。ウォーターハンマーとは、蒸気流速20m/s~30m/sによって加速したドレンが配管のエルボなどにカーンという高温を発生させながら衝突することで損傷を与える現象である。

またドレンが加熱したい箇所に残存していると、伝熱面積が低下することによる熱交換効率の低下、加熱と冷却が繰り返されることによる配管脆性化・腐食が発生する可能性がある。

加熱には便利な蒸気だが上記のような不具合を防ぐために、ドレンを速やかに排出するスチームトラップが必要である。

スチームトラップを使用する上での注意点

蒸気の通気、スチームトラップの運用の運用上の注意事項を紹介する。

まずは何といってもスチームスチームトラップがあるとは言え、蒸気を通気する前にはドレン抜きを念入りに行う事である。蒸気通気配管の一番低いところにドレン抜き用のバルブがあるので、蒸気を通気しながら、ドレンの払い出しを行う。この際にはドレンが抜けきるまで、蒸気を通気することが重要である。

更に、ドレン抜きが完了した後は、スチームトラップが温まったことを確認する必要がある。スチームトラップが温まることで、バイメタルが湾曲しスチームトラップが作動したと確認できるためである。何時までたってもスチームトラップが温まらない場合は、ドレン抜きが不十分であるかタンクからの内部漏れの可能性があるので注意が必要である。

今回は工場の熱源となる蒸気を使用する際に、重要となるスチームトラップについて紹介した。ドレンによる腐食やウォーターハンマーは配管の損傷につながるため、適切な運用を行う必要がある。

以上、ご安全に

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