【計器の誤指示】液面計の誤指示について【センサーの誤検知】

液面計は工場のセンサーの中でも重要計器である。しかし設備は故障するものであり、それは計器でも同様である。計器が故障・誤指示する可能性は十分にある。計器の誤指示の検知が遅れると、プロセスの変調・暴走に繋がるため、素早い検知が必要である。

今回は液面計が誤指示した時に起こる現象と対応について紹介する。

液面計誤指示の発見~計器の冗長化~

工場においては、一つの情報を測定するのに計器を二重化(冗長化)している事が多い。これは計器は故障する可能性を考慮し、二重化する事で計器の故障を素早く検知するためである。

一例としてタンクには液面を測定する計器として、差圧式液面計LCと静電容量式センサLA、現場液面計LGがよく設置されている。

何故、LC23本設置しないのか。これは型式を変える事に意味があるからである。

同じ型式(測定原理)の計器で二重化を行うと、初期不良やプロセスの同じ原因によって同時期に故障・誤指示が発生する可能性がある為である。

あくまで誤指示を検知するためであれば、異なる型式の計器を2つ、3つ設置し、その指示の差異を元に誤検知を発見するのが合理的である。

 

またコスト的にも大幅な削減になる。

差圧式液面計を物品の購入、設置(工事)、制御システムに取り込む(ソフト)まで行うと100万円~200万円ぐらいする。静電容量式センサは差圧式液面計より機器そのものの構造が簡単な為、物品の値段が下がるが後はほぼ同額である。

現場LGは物品も安く上がり、かつ制御システムに取り込む必要がないため50万円ぐらいで済む。

では次に誤検知が起きたときの現象について紹介する

誤指示による現象~どの計器から確認するべきか~

上記で紹介したタンクのフローが下の図になる。

DCS(操作室制御システム)において、ポンプの空引きを防止するための液面下限センサが発報した。しかし、差圧式液面計LCは液面が60%を指示しており、センサとLCで液面指示に差異が生じセンサまたはLCに異常があることが発見された。

プロセス概略

 

ではこの場合は誤指示している計器を特定するためには、どの計器を確かめるべきか。

初めに確認するべきは、一番シンプルな構造の計器を確認である

オンオフのセンサーやシンプルな構造の現場計器は故障する箇所が少なく、故障していても構造がシンプルな為故障個所を特定しやすく、修理も簡単に行える可能性がある為である。

上記のプロセスの場合は、まずは現場液面計LGの指示を確認するべきである。現場LGで実液面が下限センサLAと液面計LCのどちらの値に近いかを確認し、誤指示している計器を特定するのである。

管理人が体験した現象について紹介する

液面計の健全性の確認方法~現場では想定外の事が起こる~

上記のタンクにおいて現場液面計LGを確認したところ指示液面は低く、当初は液面計LCが誤指示していると考えられた。

しかし現場液面計の健全性を確認するために液抜きなどの導通確認を行ったところ、現場液面計LGから不純物が発見された。その為できる範囲で不純物を除去したところ、現場液面計LGが液面計LCと同一の値を示した。

このことから下限センサLAにも不純物が接触することで誤指示を起こしていたと推測される。

このように3つのうちの2つの指示が同一であるからといって、最後の1つが故障していると特定するのは早計かもしれない。

今回の事例は発生する可能性は低いが、現場は想定外が起こりうる場所であることを私たちは再認識しなければならない。

今回は液面計の冗長化と誤指示について紹介した。

以上、ご安全に。

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