容積式流量計、現場ではよく「オーバル」とよばれる管理人が好きな流量計について解説します。
目次
容積流量計の測定原理
現場で下の画像の様な青い四角い流量計はよく見るのではないでしょうか。これはオーバル流量計、または容積式流量計と呼ばれる。これは株式会社オーバルが出荷している容積式流量計がメジャーな為、オーバルと呼ばれる。この容積式流量計の中には画像のように2個の細い長い歯車が入っている。ポンプなどの電動機によって歯車の面に圧力がかかる事で、歯車が回転する。この2つの歯車はかみ合っているので、一つが回る事でもう一つも回る仕組みになっている。この歯車が回ったタイミングで配管の半円上になっている空間にたまった液が押し出される。これが歯車が90°回転した時に払い出される流量になる。つまり歯車がどれだけ回転したかで実際に流れた流量が分かるのである。実際には歯車にマグネットがついており、歯車の回転数に内部で設定されている歯車1回転分の流量をかけ合わせる事で流量を計算している。
容積式流量計のメリット
メリットは以下の通り
- 測定精度が高い
- 高粘度の流体等、幅広い性状の液体を測定する事が出来る
- 流量計前後の直管部が不要である
- 流量計からのエネルギー供給が不要である
容積式流量計の最大のメリットは、測定精度が高いことである。これは実際に歯車が回転し払い出した液が流量となるためである。また差圧式流量計やコリオリ式流量計は測定原理上(いずれ説明します)流量計の前後の配管が直線でなかったり、高粘度であったりすると流れが不均一になるため誤指示しやすくなります。それと比較してこの容積式流量計は前後の配管が直管でなく、粘度が高い場合であっても問題なく流量指示を出してくれる。これも現場としてはとても助かるメリットになります。現場には狭い箇所で直管部を設けることが出来な箇所も多々あります。そういった場合に容積式流量計が役に立ちます。その他には容積式流量計は歯車の回転数を検出するだけのため、測定するために外部からのエネルギー供給が不要である事もメリットになります。
容積式流量計使用上の注意点
・異物などのコンタミに弱い
・歯車の回転数に上限がある
・メンテナンスが必要である
測定原理上、歯車部分に異物やガスが噛み込むと流量を誤指示、または故障の可能性がある。沸騰しやすい液を測定する場合には液中でガスが発生し、実液は流れていないにも関わらずガスを液として認識し流量として多めに誤指示してしまう事がある。設定温度は100℃以下にも拘らず、沸騰する原因として蒸気で加熱している場合が考えられる。蒸気での加熱は局所的に100℃を超える加熱がなされる場合があるため、温度調整方法には注意が必要である。
また歯車を固定するために軸が設置されているが、歯車が既定の回転数以上で回転した場合は軸が摩擦でヤケつく場合があるため、大流量を測定するためには歯車を大きくする必要があるので選定はもちろん、非定常での使用方法などにも注意が必要である。
この上記の2点から分かるように、幅広い性状を精度よく測れる代償として、メンテナンス性の低さはデメリットとして挙げられる。
技術スタッフとしては、精度が高く様々な液を測定することが出来る優れた味方だが、この計器周辺でトラブルが発生した場合には上記の注意点を参考に検討を進めてほしい。
以上、ご安全に
流量計の電池交換をしたら、流量が極端に早く増えてしまう。
何か設定がありますか?
流量計からDCSへの通信を流量計のバッテリーで行っているのではないでしょうか。
その場合は通信に用いられる電流値が正常値よりも低くなり、流量を低めに誤指示していた可能性があります。
バッテリーを交換する事で、通信用の電流値が正常に回復しこれまでより流量を多めに指示していると思われます。