【トラブル低減】ヒヤリ・ハットを書こう【ハインリッヒの法則】

工場で働き始めた人なら、事故にはならなかったが一度は今のはマジでやばかったなといった事故寸前の現場に出くわしたことはあるだろう。今回はヒヤリ・ハットの重要性とその効果を紹介する。

ハインリッヒの法則

1つの重大事故の背後には、29件の軽微なトラブルがあり、その背景には300件の異常・変調が存在する。これが有名なハインリッヒの法則である。そのトラブル・異常のうち、98%が予防可能であり、予防可能な88%が人間の不安全行動(オペレーションミス)によるものであり、残りの10%が機械的物理的不安全状態(機器の故障)によるものである。つまり人間のミスによるトラブルが、機械の故障によるトラブルの9倍の頻度で発生しているのだ。

このハインリッヒの法則で重要なのは、以下の2点である

  • 人間の不安全行動と機械的物理的不安全状態をなくすことが出来れば、重大事故を減らすことが出来る
  • 300件の異常・変調の中には1つの重大事故につながる原因がある

1点目はハインリッヒの法則が示す重要な教訓ではあるが、技術スタッフとしては2点目の事実を重要視すべきである。

ではこのハインリッヒの法則から、技術スタッフは何をするべきだろうか。

ヒヤリハットを書こう

ヒヤリハットとはハインリッヒの法則中のトラブルには繋がらなかった300件の異常・変調の事である。現場のオペレータや技術スタッフは、日ごろからヒヤリ、はっとした小さな異常・変調に遭遇している。この小さな異常・変調をトラブルに繋がらなかったといって、見逃していてはいずれは重大な事故につながってしまう。そこでヒヤリハットに遭遇した際には、ヒヤリハット報告書を作成するようにしよう。見落としがちな小さな異常・変調をしっかり改善のまな板の上にあげることが、トラブル低減の第一歩である。

 

現場オペレーターは慣れや経験から、ある程度の変調があっても運転が出来ててしまう。そのため異常・変調を軽視しがちであるが、そういった場合は必ずヒアリングをして現象を明らかにしよう。技術スタッフも、現場テストや試験でヒヤリハットを起こした場合は必ず報告書を作成すること。

しかし、ヒヤリハット報告書を作成するだけでは意味がない。この報告書から改善を行うのが技術スタッフの一番の責務である。

技術スタッフとしてトラブルを減らすためには

ヒヤリハット報告書から、異常変調を抽出した場合は単純に一次原因に対策を打つのではなく、その異常変調から考えられる重大トラブルはどんなものかを想定し、それが発生しないような対策を打つべきである。

単純な躓きのヒヤリハットであっても、躓いた段差を無くすのではなく、なぜ躓いたのかを考えるべきである。作業環境だけでも、段差、照明、視界などいくつかの視点がある。またその躓いた箇所で行う作業、取り扱い物質について深堀していく必要がある。これらの条件が重なり重大トラブルに繋がる可能性がないかを検討すべきである

ヒヤリハットで一番重要なのは人間のミスによるものである。機械的物理的不安全はオペレーターの方がよく気づいてもらえる。しかし、そのオペレーターのヒューマンエラーは本人がどれだけ気を付けても根絶することはできない。そのため、技術スタッフはヒューマンエラーが起きても、トラブルに繋がらない仕組みづくりを行う事が重要である。ヒヤリハットから重大トラブルに繋がる可能性があれば、リスクとバランスを考えて投資を行うべきである。

今回はヒヤリハットの重要性について紹介した。小さな異常・変調を根気強く改善していくことがトラブル低減のもっとも近道である。技術スタッフとして、オペレーターが挙げたヒヤリハットをないがしろにせず、改善をすすめていこう。

以上、ご安全に。

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