【現場力】ファシリテーションとは【技術スタッフの必須スキル】

技術スタッフとして、業務遂行のためには化学工学の専門知識だけでなく、設計・提案した案件について各上長の同意を得て決裁に進める必要がある。そのためにはミーティングの場において、自分の進めたい方向にまたは、有用な意見を抽出しより良い改善案にブラッシュアップするためにも会議のファシリテーション能力が今後重要になる。

会議の目的

会議の目的は、議題に関して意見を交換し合意案・改善案を形成し意思決定することである。決して、一度集まって話してみましょうの寄り合いや話し合いではいけない。一度集まって話しましょうで、脱線、同じ話の繰り返しばかりの無駄な会議をした経験は皆さんにも一度はあるだろう。

生産性を求められる現在では、より早くより収益にるつながる仕事をしなくてはならない。そのために、技術スタッフは会議の設定者としてファシリテータを務め会議を意味あるものにする必要がある。

まず会議の流れとして、事前準備→ミーティングの開始→討論→総括→議事録の共有→宿題事項の実施となる。技術スタッフはこの流れの中で参加者の意見の発散と収束を繰り返させ、情報を大きくし取捨選択を行う事でアイデアをよりよくしていく必要がある。

この収束と発散が無ければ、自分の意見が素通りするだけで何の成果も得られないミーティングになってしまうだろう。

そうならないためには、事前準備段階において参加者の選定や事前情報の共有、およびミーティング前の宿題事項の実施等を念入りに行う必要がある

この準備と会議の進行を技術スタッフ・ファシリテータとして行う必要がある。

 

ファシリテータの役割

ファシリテーションとは、促進の意味で複数人による活動が円滑に進むように援助する機能のことを言う。それが拡大解釈され、会議だけでなく、個人、チーム、部門における目標達成に必要な問題解決や合意形成が円滑に行われるように支援することである。

ファシリテータの目的は中立の立場から全員の意見を引き出し会議をマネジメントすることである。主な役割は以下の通りである

  • 会議の進行
  • 時間のコントロール
  • 議論のコントロール
  • 全員の参加の促進
  • 参加者の意見を引き出す
  • 上下関係を意識させない

上記の役割を果たすためには、以下の事を会議中に行う必要がある。

  • 会議を通して決定・実施したい事を明確に理解する
  • 平等かつ中立的な立場であること
  • 決議県を持たず、意見の整理にとどめる
  • 議論を活発におこなえるよう促す

ここではファシリテータは調停者ではないため、合意案を出してはいけないというのが定説ではある。しかし実務上では積極的に合意案を出した方が良いと考える。それは工場の技術スタッフは大抵自分で会議を設定し、自分でファシリテータを務めることが大多数だからである。自分の目標達成のために会議を設定したのであれば、参加者の合意が取れる範囲で自分の目標達成に近い合意案を提案することが目標達成への時間短縮に繋がるためである。

ファシリテータに具体的な仕事

ファシリテータの主な仕事は上記で説明した通りだが、具体的な仕事内容を紹介する。

会議の準備

仕事の8割は準備で決まるといわれるが、会議でも同様である。まずは目標を明確にする必要がある。合意形成が目的であれば「**をする」を決定するというゴールを設定し、これに向けてどのような論点で議論をすれば、効率的に進めるかを検討しておく必要がある。

また参加者もよく吟味する必要がある。特に意思決定を行う場合には決裁権のある管理職に参加を要請するべきである。管理職がいない場合、私には決めかねますといった事態に陥らず、必ず物事を決定進めることができる。また技術的な議題の場合は工場内の専門家に参加もしくは事前に意見をもらっておくとより有意義な会議とすることが出来る。

会議中の進行

会議中においては、意見の収束と発散を行ために話を引き出す能力と話をさばく能力が必要である。発信力が弱いが専門性がある人の意見を引き出し、話をややこしくする発言量が多い人の話を整理しさばくことが重要である。

発信力が弱い人へは、質問を投げかけ話を具体的に掘り下げていく必要がある。その方法としてはいくつかある。

  • 事実質問:5W1Hを中心に事実を確認する
  • 探求質問:Why、Howで理由や背景を明らかにする
  • 選択質問:「~ということですか」といった、意見を整理し方向性を示す

これらを駆使して、専門性の高い意見を引き出す事が重要である。

反対に発言量が多い人に対しては、一旦話を制止し、伝わっている意見を整理して伝えることで議論の方向性がずれ、議論が堂々巡りすることを防ぐことが重要である。

結論を出す

意見の発散と収束が十分に行われた場合は、会議中に結論・合意形成を行う必要がある。その際には全員から指示が得られるような合意案を提案することが重要である。その提案が支持された場合には、いつ・だれが・なにを行うのか宿題事項を明確にし、決定事項と宿題事項をまとめる。更に会議後には議事録を送付し、決定事項と宿題事項に齟齬がないか文面上でも確認する。

以上がファシリテータの具体的な業務になる。技術スタッフとしては、自分の実務に専念したいところもあるが通常の工場においては自分ひとりでできる事などたかが知れているので、様々な人と協力しよりよい改善を進めることが出来ることが評価につながるのである。自分ひとりだけで行いましたと言って評価される時代は終わったのである。

以上、ご安全に

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