こんにちは。大型メンテが終了し、やっと一息付けた管理人です。
製造業界の新入社員の皆さんは、新人教育が済んで工場に配属された頃ではないでしょうか。
弊社にもありがたいことに新人が入社し、わが部署に配属され工場研修を始めました。しかし開発志望の新入社員がこの研修に乗り気でないとのことなので、工場研修はなぜ行うべきなのか、工場研修で何を学ぶべきなのかを書いてみる。
・研修期間って必要?、どんな研修がよいのと悩んでいる就活生
管理人は生粋の生産部の人間なので、生産部側の思想に偏りすぎなので工場の人間はこう考えているのかと知ってほしい。そして製販開(製造・販売・開発)一体となって工場を盛り上げていければと思う。
目次
研修=人材育成、会社の人材への考え方が分かる
企業のよってスケジュールは異なるだろうが、弊社の新入社員の1年間のスケジュールを紹介する。企業によっては、研修が半年になったりするだろうが大まかな流れは近似するため参考にして欲しい。
1年間の研修というのは、同業他社と比較しても(大学同期ヒアリング調べ)充実している。
研修・人材育成に力を置ける・置いていることは、会社の重要な方針の一つであり、就職活動において一つの指標にしてほしい。
4月は研修センターでの社会人基本動作を学ぶ。正直学卒レベルならどうでもよい。
5月からは研究・開発志望も製造志望も全員が、全国津々浦々にある各工場に配属される。そして、翌年3月までは生産部スタッフとして研修を行う。研修中はスタッフ業務の補助を通して、仕事の仕方を学びながら工場の事を学んでいく。
また研修中には1ヶ月~2ヶ月間の三交替研修があり、実際に三交替しながらオペレーターについて回り、実作業を見学、補助する。
上記の研修内容でもわかるように、弊社は工場での研修が多く、工場での学びに重きを置いていると理解している。
本来、大学でバリバリの基礎研究やってた人間なら、工場で働く気はないだろうし、知識が錆びないうちに研究してもらう方が良いと思う。研究開発志望の工場配属は不合理に見えるが、一年間工場に配属するのだから研究を行う背景として、工場での経験を活かしてほしいと考えているのだろう。
管理人の同期では、研修が入社後一月しかなく、すぐさま開発部署に配属されるた奴もいた。これはこれで期待されており、OJTを通して一刻も早く戦力になって欲しいという期待の表れではないだろうか。
就職活動の際には、一刻も早く正配属され成長を目指すのか、研修をとおして自分が何をやりたいのか何に適正があるのかを見極めるのかを天秤にかけて、研修の期間・種類で会社を選んでほしい。
では、このスタッフ研修と三交替研修の工場研修を通して、何を学ぶべきなのか、会社は何を意図して、このような研修をするのか考えていこう。
安全への感性を高める
管理人がメーカで働く上で一番重要な事は、生産部門、研究開発部門、問わず労災に合わない、起こさない事だと考えている。
怪我をするだけで、一生懸命仕事しているのに叱責されるし、万が一怪我をさせた場合には刑事沙汰になる可能性もあり、いい事が無いので労災とは一生無縁であることが望ましい。
では、労災にあわないにはどうしたらいいのだろうか。
それは安全への感性を高める事である。
化学メーカーの中で一番危険な場所は、工場である。研究所等で危険な薬品をつかう事もあるが、労災にあうのは、いつも注意をしていない時である。工場での労災発生件数が多いことは、職場や厚生労働省の労働災害事例を確認しても明らかである。
特に厚生労働省の労働災害事例は他業種の事例まで確認でき、こんな事で人が死ぬのかと驚くことばかりで大変参考になるので是非目を通してほしい。
工場には、危険な薬品、挟まれ、巻き込まれが起こる電動機、火傷の元になる熱源など様々な危険物かそこかしこに存在しており、作業中に意識の外から労災に襲われる。
そのような労災を防ぐために工場ではKY(危険予知訓練)、HH(ヒヤリハット)、B/A(ビフォーアフター)というツールが存在する。
作業を行う前に必ずKYを行い、作業に潜む危険を予想しながら作業に臨む事により、危険を感じとる能力を鍛える。
作業中に何か不安全行動があった場合にはHHを提出する。これにより、どうすれば危険を避けれたのか、そもそも危険箇所はどうしたら無くなるのかといった安全の本質とは何かを考える。
また作業手順、環境に安全上問題がある場合には、ビフォーアフターを作成し、常に問題のある箇所を直していき、より安全な環境を作る姿勢を養う。
工場ではこれらのツールを用いて、安全への感性を高める訓練を常に行なっている。
研究所でも同様の取り組みが行われているが、この取り組みが1番強く推進されているのは、絶対に工場なので、安全への感性を高める為には工場研修が1番なのだ。
責任感の養成
学卒のスタッフは将来的にマネージャとなり、現場の管理を行う事が期待される。それが例え、研究開発部門であっても部下や派遣社員に指示を出すことは同じだろう。
管理職を目指す上で重要なことは、自分の指示によって人が実際に動いている事を実感し、その結果の責任を取ることだ。
自分が出した指示によって、オペレーターが無駄な業務をし望まぬ結果が生じることもある。また自分の出したあいまいな指示が、誤った解釈をされ、事故につながることもあるかもしれない。
そのような事態を招かないためにも、管理職は自分の言動に責任を持つ必要がある。
その責任感の養成の第一歩として、三交替勤務によって自分が指示される側で働くことで上からの指示の重要性を学ぶのである。特にオペレーターはスタッフからの効果があるか不明瞭なテストや管理職からの理屈にあわない命令等、様々な不合理な指示が下される。
オペレーターはあほらしい指示でも文句を陰で言いつつ、やってくれる。しかし、そういった現状があることを知れば、自分が指示を出す側に回った時にできる限り、オペレーターに納得してもらえるような指示をだす努力をすることが出来る。
また実際に現場で作業し、苦労を知る事で現場を良くしようという思いに繋がる。現場の設備や作業を具体的に知っているほど、的確な指示を出すことが出来、安全な作業を行ってもらえる。
研究開発部門の場合も、ものを作る苦労を知れば、作りやすい処方開発を設計することができ、量産までの期間を短縮することが出来るだろう。
現場へのリスペクトを
管理人は今でも三交替にいれてもらえるのであれば、是非とも入れてもらい現場作業を行い改善点を洗い出したいと思っているが、通常業務との兼ね合い、現場への負荷を考えると難しい。特に現場の詳細な作業手順を知らない人間を受け入れる事はオペレーターからすれば、心配でしかないだろう。
また現場に骨を埋める覚悟でやっているオペレータからすれば、数ヶ月程度の三交替で何が分かると思うだろう。実際、管理人も数ヶ月程度ですべてを理解できるだろうという気持ちは現場への理解が浅いし、オペレーターに対して失礼だと思う。
だからこそ、我々スタッフはオペレーターをリスペクトし、数十年かけて磨かれてきた現場のノウハウを教えてもらいながらも、そのノウハウに負けない様にスタッフは原理原則・物理法則といった知識・知見を増やし、検討を継続していく必要がある。
そして、オペレータの現場現物・経験からのノウハウに対して、スタッフの原理原則・物理法則に従った理屈を戦わせて、よりよい改善提案を行っていく事が経験と技術の融合と言えるのではないだろうか。
開発部門に所属した人も、いくら優れた処方であろうと量産されなければ何の意味もない。工場で汗水たらして生産してくれるオペレーターあってこその研究開発だ。
是非、現場へのリスペクトを忘れずにいてほしい。
まとめ
今回は新入社員研修における工場研修の管理人なり(製造より)の目的を紹介した。
管理人がこの研修生という肩書(責任を負う事が少ない状態)で実際の現場に出れる事がかけがえのない経験であると分かったのは入社2~3年目であった。新入社員の方はぜひ今の機会を大切にして、全力で現場に飛び込んでほしい。
製造業界に入社したからには研究開発部門に配属されるにせよ、自社のものづくりの根幹である工場現場を目に焼き付け、ものづくりの基礎が工場・現場にあることを理解する所からスタートしよう。
以上、ご安全に