【終末沈降速度】サイクロンの分級性能の算出【分級操作の原理】

今回はサイクロンの原理と能力の算出について紹介する。特にサイクロンでどの大きさの粒子まで分離できるのか、終末終端速度で算出する方法を紹介する。

分級とは

そもそもサイクロンで行っている単位操作は分級と呼ばれるものになる。

分級とは文字通り「級(クラス)を分ける」事を意味している。性状が連続的に異なる粒子群から、目的とする特性範囲だけに区切っていくつかの集団に分けていく操作が分級と呼ばれる。

サイクロンで行われているのは、主に粒子の大きさに着目して分級する粒度分級である。

分級原理

分級原理には大きく分けて、幾何学的分級と動力学的分級の二つがある。

幾何学的分級とは所謂「篩分け」で、金網などによって単純に大きさをふるい分ける方法である。

幾何学的分級では、網目の大きさによって分級性能が決まるため、メッシュサイズの作成精度による性能限界があり、また目詰まりによる分級性能の低下も想定される。しかし原理的には非常にシンプルな為、分級したいサイズが決まっていれば導入は簡単である。

動力学的分級とは風起こしに代表される粒子の大きさの差によって生じる運動速度の差を利用して行う分級のことである。

動力学的分級の原理は、大きさな異なる粒子と流体との間に相対運動な起こさせ、その相対運動の差により分級を行っている。

粒子と流体との間に起こる相対運動には、粒子自身の動力学的性質である慣性力、ブラウン運動カ、エネルギー勾配場による重力、遠心力、静電気カ、熱泳動力などが挙げられる。

では、今回の本題であるサイクロンの構造と原理について紹介する。

サイクロンの構造と原理

サイクロンは動力学的分級に分類され、それぞれの粒子にかかる遠心力と終末終端速度(重力)の差によって分級を行っている。

サイクロンの構造と原理

粉体分離機 Wikipedia

サイクロン自体は非常に単純な構造で、可動部がない為エンジニアにとっては有難い構造になっている。

分離したい粒子はプロセスによって、異なるが今回は上記の図と合わせて、上側より目的粒子を取り出す事とする。

混ざった気体がサイクロン側面から挿入され、サイクロン内を下に旋回していく。

この時、上記で説明した分級の原理の通り、外側への遠心力によって重たい粒子ほど外側に分離されていき、気体の流れから外れ下側排出口に流れていく。

そしてサイクロン下部が絞られることで、吹き込まれた気体の一部が上昇気流に変わり、上部気体出口へと抜けていく。この時に目的の軽く小さな粒子が気体と一緒に補修される。

では、この時に分離できる粒子の大きさをどのように算出するか紹介する。

サイクロンの分級性能の算出

目的粒子を上部から取り出すためには、サイクロン上部から噴出する気体に目的粒子を搬送させる必要がある。つまり、サイクロン上部からの流速が取り出したい粒子の終末終端速度より速ければ、取り出す事が出来る。

既設のサイクロンで取り出せる粒子径を算出するためには、上部からの取り出しの流速を測定し、その流速が終末終端速度と釣り合うとすれば、そのときの粒子径がサイクロンで取り出せる粒子径になる。

またサイクロンを新設する場合には、サイクロン上部取り出し口の流速が取り出したい粒子径での終末終端速度となるように、サイクロン側面の吹き込み速度や配管径を小さくするような調整を行うとよいだろう。

最後に、終末終端速度について詳しく解説する。

終末沈降速度とは

終末沈降速度は、終端速度や終末速度ともよばれ、物体(今回の場合は連続的に大きさが異なる粒子)が上記で説明した慣性力や重力、遠心力等の相対運動と、浮力や空気抵抗といった速度に依存する抗力を受けるときに、それらの力がつりあって変化しなくなったときの速度のことである。

運動方程式で重力と浮力と空気抵抗が釣り合う式を解くと、以下の終末終端速度utが得られる。またCdは経験則から以下の様に与えられる。

 

上記の式を見てわかる通り、ut:終末終端速度を求めるにはCd:拡散係数が必要。さらにCd:拡散係数を求めるためにはRe:レイノルズ数が必要。そしてRe:レイノルズ数を求めるには、ut:終末終端速度が必要になっている。

つまり、どれか一つが分からないと解けない状態である。その為この式から更に、拡散係数Cdにレイノルズ数Reを代入する事で、拡散係数Cdとレイノルズ数Reを使用せず、終末終端速度utを表すと以下の通りになる。

粉体工学便覧より引用

この式によって、流れる粒子と流体の物性が分かれば、終末終端速度utを算出する事ができ、サイクロンで分離できる粒子径が算出する事ができる。

レイノルズ数については、流れる流体速度と実際のプロセスの風の流れを見れば、経験的にどのレイノルズ数の範囲の式を使えばいいかわかるだろう。

粉体工学便覧にはレイノルズ数のざっくりした判別方法は粉体工学ハンドブックを参照するように記載がある。(管理人が所有していない為、もしお持ちの方は該当箇所をご教示ください。)

単純な判別方法であれば、細い糸や紙、火気がOKなら線香の煙の流れ方である程度判別できる。

今回はサイクロンの原理と構造、またサイクロンで分離できる粒子径の算出方法を終末終端速度とともに解説した。
終末終端速度は分級以外の単位操作においても重要なパラメータになる為、覚えておいて損はないだろう。
以上、ご安全に。
追記
現在、終末終端速度の簡易計算フォームを作成中。

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